もう一人の自分
お久しぶりです。とっても久々にブログのことを思い出しました。
ヨーロッパ留学も終わり、今はカナダの大学に戻ってきて1ヶ月経ちました。
デンマークと何が違うって、学生のschool spirit、先生達の熱心さ、宿題と読み物の多さ、スピード感などなど…
どちらがいい、と簡単には言い切れないけれど、私はデンマークのリラックスしたライフスタイルのほうが合っていたかな。もちろん留学生だったから、正規生とは違う待遇だったと思うけど、それにしても1週間4時間しか学校に行かず、ファイナルしか成績をつける要素がないデンマーク生活と、今の6つ授業を取り、ボランティア活動を複数掛け持ちし、毎週毎週何かしら提出期限に追われて過ごす暮らしのギャップがすごくて、9月はげんなりしていました。
そんな前置きはさておき、タイトルの「もう一人の自分」とは何か。
いきなりその説明をする前に関連する話をさせてください。
カナダに来て4年経ちましたが、私はこの国では一生カナダ人になれないと思っています。どんなにカナダ人と一緒に過ごして、どんなに彼らの生き方を真似しても、根っからの「カナダ人」にはなれないと感じます。
実際カナダ人の定義って何?と聞かれたらなかなか答えられませんが、でもカナダの文化は日本とは違い、それを自分のものとしては消化できないのです。
どうしても外部侵入者なんです。お互い。
それが嫌で嫌でしょうがなかった。この国で日本人感を出して生きていたくなかったのが2年前の私です。せっかくこっちの大学に4年も通えるのに、カナダに染まりきれないと感じるのがすごく悔しくて…カナダ人がやること一緒にやるのは簡単だけど、心の中では心地悪いな、とか、やりたくないな、とか感じていました。でも見た目や行動だけは染まって、他の人から「カナダ人みたい!」と言われたくて、そのために自分からはやらないようなこともしました。
こういう生活の繰り返しには、なんやかんやで慣れました。
そんなジレンマを抱えながら、「カナダはもう慣れてつまらない!」と思い、決心したデンマーク留学。
「なんか嫌!!!」というはっきりしないけど、強い気持ちで向かった留学生活は、予想以上に自分の気持ちを整理してくれました。
デンマークでは、私はカナダの大学生として自己紹介をしました。留学生にとって「どこの大学から来たの?」というのはほとんどの確率で名前の次に来る質問です。
3、4つの質問後に、「でも日本人だよ」と付け加えるのがお決まりでした。
だから、たくさんの人が私をカナダから来た人として扱いました。どこでそういうことがわかるかと言うと、その人たちが、他の人に私を紹介するときに「この子はカナダの大学生だよ」と紹介するときが多々あったからです。
最初はただ単に気分よかったです。だって、カナダにいるときから、カナダ人になりたかったから。
でもそのうちよく考えるようになりました。
私はカナダ国外ではカナダという肩書きを持てるけど、カナダ内では持てない、と。
でもよくよく自分のことを見てみると、やはりカナダ人の真似して生活していたこともあって、それが知らないうちに身についていたのかもしれません、カナダっぽさが他のカナダ人じゃない人よりはあるんです。
例えば英語を話すとき、私の英語は北アメリカ訛りで、友達に指摘されたのですがsorryと頻繁に言ってしまうことだったり(これはカナダ人がよくいうことで有名)、デンマークの冬でマイナス5度くらいのとき「あんまり寒くないね」と言ったときだったり、本当に些細で浅いことなんですが、もしカナダに住んでいなかったら絶対に言わなかったり思わなかったりすることが山ほどあることに気づきました。
少しカナダよりな自分がいるんです。
カナダにいるときは、どうしても自分のなかのカナダさが、嘘のものに感じられて…でもカナダから離れて、ようやくそれが自分のものだ、と受け入れることができました。
カナダ人にはなれないけど、カナダらしさがあるのも自分の個性の一つ、と。
そう、だからもう一人の自分とは、外から客観的に自分を見ることができる存在です。
それをデンマークに行って、少しは手に入れることができたのかな、と感じます。
今は、私はカナダで日本人であることに誇りを持って暮らしています。
日本人らしさを隠すことはもうしません。この「らしさ」というのも定義付けはなかなか異論の多い分野なのですが…
でも、かわいい服着たいし、断るときに傷つかないようにやんわり言いたいんです。カナダで育った人たちはたいてい日本で育った人より普段の服装を気にしませんし、物事は割とはっきり言います。でも私は、スウェットに靴下&サンダルでは登校したくないし、はっきり断るのは少し心が痛むんです。だからしません。いくら「なんでドレス(ワンピース)着てるの?なんで毎日学校へ行くのに化粧するの?」と言われても、彼らのやり方にはシフトできません。1年目は割としてましたが、今は自分のしたいことを自信を持ってできるようになってきました。
郷に入れば郷に従え、なのですが、その程度は自分の心地いい範囲で程度を決めればいい、と思えるようになりました。最近。
自分のなかにある、日本とカナダという違う文化で築いたアイデンティティーを二つとも同じくらい大切にできるようになったのが、デンマーク留学を通して得た、一番か二番目に大きいものです。
もし、あなたが今同じような悩みというか、ただ単に「もうこの場所飽きた」と思うようなら、何も考えずに一歩踏み出すことをお勧めします。同じ国でも違う場所ならいいと思います。
あなたがいた場所のいいところと悪いところが客観的に見れるのはとてもいい経験になるし、なにより、新しい人に出会って、その人たちに今までの話をすると、頭が整理できます。
彼らは何も知らないから、変な先入観などもないですし。
もうカナダは夜中の3時半です。明日がサンクスギビングウィークエンド前最後の学校です。明日が終われば長い週末だ、やった!