Daily ramble

なまけないようにするためのブログ

5年前といま

いろいろな国を飛び回っているのは、ここ5年以内の話だ。

それまでは日本から出たことがなかった。

 

ふと、初めての海外生活2日目にバスに乗らなければいけないシーンを思い出した。

 

泣きそうだった。

 

私の場合、初の海外は家族や友達とではなく、いきなり留学だった。

 

今、16歳の女の子が初めての海外、一人でバスに乗るなんて、相当心細かっただろうな、と思う。

 

16歳なんてまだまだ子供だし、それまでの人生両親のもとでぬくぬくと不自由なく育ってきた子に、そんなこと、いきなりビッグイベントすぎる。

たかがバスに乗るくらいで、なんて思うかもしれないが、当時の私にとっては、それまでの人生の中で一番緊張した瞬間だったはずだ。

 

今でも覚えているくらいだから、当時どれだけ強い思いを抱いていたのか想像できる。

よく耐えた、よく諦めなかった、と褒めたい。

 

今では異国の地で毎日バスに乗り、買い物をし、不満を言い、授業で発言し、現地民と変わらぬ生活をしている。誰が夢にも思っただろうか。

 

もし留学に行ってなかったら、今でも一人で海外でバスに乗るのは緊張していたのだろうか。

 

初めて海外に来た時は全てに飲み込まれそうだった。自分が自分として立っていられなかった。

自分の意見が持てなかった。何事も、その地で正しければ正しいし、間違っていると言われれば間違っている他なかった。

 

考える能力は初めの5ヶ月くらい無に等しかった。

 

考える時間がなかった。

英語がうまく話せなかったから、文章を頭の中で作るのに必死だった。

深く物事について考えるなんてとてもじゃないけどできなかった。

 

でも、英語にあまり苦労しなくなってからは考え始めることができた。

 

言語というのは不思議なものだ。ただのツールだ、という人もいるが、言語なしには考えることは相当難しいのではないかと思う。

もちろん、最初の5ヶ月の例からわかる通り、言語に振り回されて、言語によって考えることから遠ざけられてしまった。けど、言語をモノにしてからは、考える力を補ってくれるものだと思った。

 

今では、哲学の論文を英語で書く。もちろんたくさん考えなければ文章を読み解くことはできないし、それに対して書くことなど絶対にできない。

どうやってこの領域まで来たのかはわからない。

だけど、突然来れたわけではないのは事実だ。

 

最近、数年前と比べると格段に英語がうまくなった、と言われる。

自分ではまったく実感がなかった。

 

正直、最初の一年しか自分の成長を感じることはできなかった。

それもそのはず、ほぼ無の状態から、人とほぼ難なくコミュニケーションを取れるようになったのだから、実感せずにはいられない。

 

最近の成長は自分では気づかなかった。でも成長しているらしいのでそれは素直に喜んでおく。

 

5年前は自分はこの地の人間ではない、と強く思った。

今は自分はそれなりに溶け込んでいる、と思っている。

 

5年前は自分の意見と違うものは正しくないと思っていた。頭ごなしに否定していた。

今はいろんな意見は尊敬されるに値するものだと思っている。同意できるできないは別にして、全部議論の種になるとは思っている。

 

5年前は自分は自立できていると思っていた。

今は、周りの支えなしでは絶対に生きていけないと思っている。

 

5年よりちょっと前は、自分はほぼ完璧だと思っていた。

今は、泣きそうなくらいいろいろできないことがわかっている。

 

5年前は人を助けるという観念が自分の中になかった。

今は、助けられているという実感があるから、他の人を助けたい、と思っている。

 

5年前はとにかく反抗的だった。

今は、思春期越えたはずである。

 

5年前はまさか人を好きになるとは思っていなかった。

今は、いろんな人が好きだ。

 

5年前は22歳は大人だと思っていた。

今は、22歳だけど、5年前と対して変わらないと思っている。

 

5年前は友達のことを大切にしていた。

今でも友達のことは大切にしている。

 

5年前は家族のことはあんまり考えなかった。

今は、連絡こそあんまり取らないけれど、よく家族って変な集団だなと思う。

 

10年前は海外で生活なんて絶対にしたくないと言い張っていた。(証言あり)

今は、海外生活を経験していない私の人生なんて考えられない。

 

ここ数年の自分の中の変化は、今振り返ると、なかなかにドラマチックである。

かなり大胆になったし、かなり図々しくもなった。

 

だけど変わっていない部分もたくさんある。

 

もし、日本の大学に行っていたら、どうなっていたか、なんて考えてもしょうがないけど、考えてしまう。

今とは絶対に全然違うパーソナリティーを持っていたはずだ。

コアなところは同じかもしれないけど、細かいところは絶対に違っていたと思う。

 

けどほぼ確実に言えるのが、他人の意見をあんまり尊重せず、家族についてあんまり考えていなかったと思う、ということだ。

海外うんぬんはもしかしたら大学入ってから興味を持っていたかもしれない、けどこの二つは海外で一人で住まなきゃわからなかったことだった。

 

実際今読んでるみんなに、私の文章全部理解してもらおうなんて思っていない。

だって、経験してきたことが違うから。

ふーん、くらいで終わってしまうのだってわかっている。

でも少しでいいから、考えてみてほしい。

5年前の自分と今の自分。

何が変わって、どんな風に成長したのか。

 

私は、今の自分が5年前の自分よりずっと好きだ。