シリコンバレーでのインターンに至るまで
実は今年の夏にカリフォルニアでインターンをしてきた。
インターンというか、無償で1ヶ月ボランティア?
でもちゃんと9時5時出勤でオフィスワーク。
まずここに至るまでの経緯を話したい。
7月上旬デンマークのビザが切れるということで、有効期限が切れるまでに国外に行かなければならず、次どこ行くかを考えなければなかった。
父から「サンフランシスコ行けば」と軽く言われ、あ、まあそれもありか、ということでサンフランシスコ行きの航空券をビザが切れる3日前に購入した。
数ヶ月前からサンフランシスコの話はしていたので、3日前にいきなり決めたわけではないけど、ようやく決心ついたのはたったの3日前だった。
航空券を手配したところで、次に絶対に確保したいのが寝る場所。
知ってる人も誰もいないから、安くていい感じのホステルを予約。
しかし夏のサンフランシスコやはり人気でどこも6日以上連続ではとれなかった。
でもとりあえず、ということで最初の一週間の宿泊先を出発2日前に予約した。
実際このとき、どのくらいの期間サンフランシスコにいるかは決めていなかった。
ひとつ決めていたのはサンフランシスコでインターンを探すことと、もし2週間以内に見つからなかったら、カナダに帰ること。
だから、帰りの航空券はそのときまだ買っていなかった。
出発日。
大好きなコペンハーゲンから乗り換え地のストックホルムへ。
そこで行きの航空券しかない旅は否定された。
「君、帰りのチケットないとアメリカ行きの便に乗れないよ」
というのも、アメリカは訪問者に厳しい国だ。だからアメリカ国民でなければ、3ヶ月以上の滞在は観光では許されず、3ヶ月以内にアメリカから外に出るチケットがなければアメリカ内に入れてもらえない。
このことうっすらとは知っていたけど、チケットを購入したときはまったく考えていなかった。
結果、足止めを食らい、ストックホルムの税関のお兄さんの目の前で、とりあえず2週間後くらいの一番安いであろうアメリカからカナダへのバスを買った。
シアトルからバンクーバーだったかな。
シアトルに行くつもりはあまりなかったけど、とりあえずこの場をやり過ごすためだけに一番安いであろうルートを購入。
よかった、空港にwifiがあって本当によかった。
そのチケットを見せ、無事飛行機に乗ることができた。
が、離陸直前にあのお兄さんが私の席までやってきて
「ごめん君のことセキュリティに通すの忘れてたから全部荷物持ってきてくれる?」
という超向こうの都合でまた空港内に戻された。
たぶん、あのとき超泣きそうな顔だった。
添乗員さんから「大丈夫、ちゃんと待ってるから、安心して sweetheart」という言葉をかけてもらい、セキュリティのチェックを受け、無事飛行機に乗ることができた。
飛行機の中からはアイスランドかグリーンランドか、北極の近くを通り、氷河っぽいものを見ることができた。
そしてついにサンフランシスコ到着。
こっちの関税では特に問題なくするすると外に出ることができた。
風が軽い。小麦色の山肌。
初めて見る西海岸の風景だった。
メトロを乗りつぎ(のち一人で乗るのは危険な路線だと言われた)、ものすごい急な坂を経て(20キロのスーツケース2個とリュックとバックとともに)ホステル到着。
男女混合6人部屋。狭い。
とりあえず長旅を終え部屋で休んでいると一人の女の子が来た。
スペインから来て、これから3ヶ月ワイナリーで働くという。
その子とは今でも連絡を取り合う。
サンフランシスコの街に出ると、そこは今までどっぷりと浸かってきたヨーロッパの雰囲気とはまるで違うと肌で感じた。
最先端、というか新しい空気が漂っていた。
伝統は感じなかった。
やはりテクノロジーのメッカ、シリコンバレーの目と鼻の先というだけある。
最初の一週間はホステルでたくさん友達を作り、その子達と一緒に毎日街に繰り出して散策していた。
毎日が新鮮で本当に楽しかった。
旅先で出会う人たちとは、不思議なことにたったの数日間ですごく仲良くなる。
サンフランシスコにいたのは実際1ヶ月半くらいだが、その間に大切な人たちが何人もできた。
同じ授業を半年間一緒にとって、授業中に少し話すのとは訳が違う。
もっと大学の子たちとも仲良くなりたいけど、お互い丸一日一緒になんていれない。
旅先ではそんなことよくある。濃い時間を一緒に過ごす。
短期間だけどそれは大学の友人と過ごす半年よりもずっと濃密だ。
そんなことをしているうちにサンフランシスコに来た一番の目的を忘れかけていた。
そういえば仕事探すんだった。
父の知り合いの人が教えてくれたシリコンバレーや日本のスタートアップが集まるコンファレンスに行ってみることにした。
これが初めてのプロフェッショナルな場所に足を踏み入れる経験だった。
正直、とても緊張していた。
何を着ればいいかわからなかったし、誰も知り合いいないし、何を話していいのか分からなかった。
だけど今あのとき勇気を出して行って本当によかったと思う。
結論から言うと、そこで2つインターンシップをゲットできた。
ひとつはシリコンバレーのITスタートアップ。プログラミングやビジネスなど勉強していない私がまさか、とは思ったが、最終的にはボスも私のことを気に入ってくれるくらい、「仕事」をちゃんと自分からすることができ、有意義な経験になった。
ここでテクノロジーの分野にも文系の素質を生かすことは十分可能だと感じた。
もうひとつは日本とアメリカのビジネスを繋げ、日本文化を広める目的のNPO団体。
ここでは主に事務的な作業をした。いわゆるつまらない仕事だけど、誰かがやらなければいいけない大事な仕事。効率よく仕事をすることとは、ということを考えさせられた。
仕事内容については違う記事でまた書こうと思う。
どちらも、人と話したからこそもらえたチャンスだった。
まったく予期していなかったところからチャンスは転がってくる。
だから何事もやってみないとわからない。
何もわからないから行かない、なんて言っていちゃどこへも行けない。
もちろん将来のことがちゃんと決まっていないと落ち着かない人も多いと思う。
でもそのとき何も持っていないから何かをするのを諦める、のは早い。
人生割とどうにでもなるらしい。
まずその場所に行ってからアクションを起こすのでも遅くない。
だから何かにチャレンジしたい、と思ったらしてみるのが一番だと、今回の経験を通して学んだ。
もちろん勇気はいるけど、その場所に行けばがむしゃらで必死になって、不安になっている暇なんてないのだ。
仕事をさせてもらえるとわかるまでに私は3つのホステルに泊まり、たくさんの人に出会い、素敵な思い出ができた。
1ヶ月仕事ができると分かり、適当なairbnbを決め(14人収容のでかい家)、楽しいホステル生活に別れを告げた。
でもそこの新しい宿泊先でも、新しい出会いがたくさんあった。
違う分野で活躍する若い起業家たちや、私みたいに夏の間インターンをしている学生たち。みんな初めて会うような人たちだった。
一ヶ月半のカリフォルニアでの生活はきっとこれからも忘れない。
スーツケース2つに私の人生を全部詰め込んで、知らない場所に飛び出すことがこんなにもわくわくすることだなんて、思いもしなかった。
それくらい濃くて、たくさんの新しい経験をして、刺激的で、今までで一番実りある時間を過ごすことができたのが、カリフォルニアの夏だった。